中村 卓夫Takuo Nakamura

陶芸家

作 品

卓夫の目地

目地とは石やレンガを積んだり、タイルを張るときにできる継ぎ目のことである。目地はきわめて機能的なものであるが、デザインされた目地があってもおかしくない。新館B1F通路の壁に張られたプレキャストタイルに、器を目地に見立てて張り付けてみた。全体設計者である建築家・内藤廣氏とのコラボレーションである。焼きしめた茶褐色の肌に唐草や雲、青海波などが金彩や銀彩で象嵌された器。これを5cm幅の目地にするために作品を片っ端から切断する。自らの作品を切り裂くことは作者としては刺激的あり、「器をつかうということはこういうことなのだ」と器に対する新たな視点を発見した。

作品鑑賞エリア
新館B1F通路

中村 卓夫

1945年、石川県金沢市生まれ、同市在住。父の二代・中村梅山のもとで作陶。1984年、イタリアに渡り、アルド・ロンティーニに師事。2001年、水指がニューヨークのメトロポリタン美術館の永久所蔵品に、2002年、金沢21世紀美術館が作品を買上。2004年、英国ウェッジウッド社とのコラボレーションによる「ジャパネスクシリーズ」を制作。その作品の多くは焼きしめた茶褐色の肌に琳派風の美しい金彩や銀彩で象嵌される。2004年にWEDGWOOD アートコレクション「ジャパネスク」シリーズ製作。2006年には「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ2006」に出品。土の塊から切り出した板状の粘土をベースに、重力による土の垂れや、圧を加えることによる歪みを、<土>そのもののもつ表情、表現として受け入れ、即興的に形態を作り出す。その作品は観る者の感性を刺激し、空間自体をも変え得る強さを持っている。 2019年、ベルリン国立アジア美術館の茶室設計コンペに工芸建築メンバーの一員として設計に参画。《ゆらぎの茶室》が最優秀案に選定される。

主な作品の所蔵先
シカゴ美術館(アメリカ)
メトロポリタン美術館(ニューヨーク)
金沢21 世紀美術館
東京国立近代美術館
樂翠亭美術館