鯉江 良二Koie Ryoji

陶芸家
愛知県立芸術大学名誉教授

作 品

みどり

山あいに階段のように積み重なって広がる棚田。作者はそこに農耕民族としての日本人のエネルギーを感じている。日本の農業の原点があり、民族的な底力、誇りまでも感じる。これを次の世代に残したいと思っているが、悲観的にならざるをえない作者がいる。この作品は2階からも俯瞰できる中庭に築山を焼き物で制作した。焼き物とはいえもともとは土である。その間に草や苔が侵入しやがて共生する。そこに小鳥が舞い込んできてもいい。焼き物の「みどり」と周辺の自然の緑がどのように絡んでみる人の目に映るのか。それは作者にもわからない。

作品鑑賞エリア
中庭のアート

鯉江 良二

1938年、常滑焼で知られる愛知県常滑市生まれ。岐阜県恵那市在住。県立常滑高校卒業後、常滑市陶芸研究所入所。1962年、朝日現代陶芸展で第3 席に入賞し陶芸家を志す。1972年、バロリス国際ビエンナーレ展で国際名誉大賞。1989年、愛知県設楽町に移り、1992年、愛知県立芸術大学助教授に就任。スイス、韓国などでワークショップをおこなう。2013年樂翠亭美術館にて「伊藤慶二+鯉江良二 土に宿すかたち-パイオニアたちの仕事-」を開催。 2015年、愛知県陶磁美術館にて個展「鯉江良二展 -土に還る それ以前・それ以後-」を開催。茶碗や壺などのやきものだけに留まらす、絵画やオブジェ、インスタレーション作品など、自己と社会に向き合ったメッセージ性の強い作品を多く発表。2020年逝去

主な受賞
2001年 第3回織部賞
2005年 中日文化賞
2008年 日本陶磁協会賞金賞
主な作品
東京国立近代美術館 「のべ皿」
京都国立近代美術館 「土に還る」
山口県立美術館 「証言」
出光美術館 「風土の器」
アルゼンチン近代美術館 「土に還る」