藤井 武Takeshi Fujii
洋画家
春陽会会員
日本美術連盟会員
富山県洋画家連盟委員長
作 品
悠 久
神通川が満々たる水をたたえて流れている。だが、この色調の暗さは何を意味するのだろうか。色彩が少ないからといって見る側は暗いと感じるのは自由だが、作者は暗さのなかにも対極として光を感じている。それは水がもたらしてくれる生命の歓びであり、水が循環してまた水に戻っていく大自然の神秘の営みなのかもしれない。作者の目は川を描くことによって自己の内面に注がれており、生きとし生けるものの生と死のテーマを真剣に考えているのにちがいない。神が通るという大河の流れを前にして、魂の世界を見つめつづける画家は、悠久の時間のなかに深くて重い人間の存在とは何かを問いかけている。