藤井 武Takeshi Fujii

洋画家
春陽会会員
日本美術連盟会員
富山県洋画家連盟委員長

作 品

悠 久

神通川が満々たる水をたたえて流れている。だが、この色調の暗さは何を意味するのだろうか。色彩が少ないからといって見る側は暗いと感じるのは自由だが、作者は暗さのなかにも対極として光を感じている。それは水がもたらしてくれる生命の歓びであり、水が循環してまた水に戻っていく大自然の神秘の営みなのかもしれない。作者の目は川を描くことによって自己の内面に注がれており、生きとし生けるものの生と死のテーマを真剣に考えているのにちがいない。神が通るという大河の流れを前にして、魂の世界を見つめつづける画家は、悠久の時間のなかに深くて重い人間の存在とは何かを問いかけている。

藤井 武

1952年、富山県立山町生まれ、同県富山市在住。関西学院大学法学部、武蔵野美術短大卒。1983年、文化庁芸術家国内研修で洋画家・宮崎進氏に師事。1994年、第28回文化庁現代美術選抜展招待、2000年、ウラジオストクビエンナーレ美術展招待。2002年安田火災美術財団選抜奨励展。世界各国の美術家が集い、公開制作する「とやま国際アートキャンプ」(2009~)のプロデューサーを務める。現在、春陽会会員、日本美術家連盟会員、富山県洋画連盟会員。

主な受賞
1982年 第59回春陽展春陽会新人賞
1989年 北日本新聞美術賞
1995年 第72回春陽展中川一政賞
2008年 富山県文化功労章