内田 鋼一Koichi Uchida

陶芸家

作 品

静 謐

静けさにあふれた凛とした空間は、作品が自身を強調しすぎない、けれどどこかゆるぎない存在感を持つ。空間を構成するものは、壁から突き出たL字型の柱と巨大な球体、そして壁面に飾られた9枚の陶板だけ。釉薬を使って鉄錆の質感をだし、彩りも濃い茶や黒など極めてシンプルだ。無機質な建築構造物を思わせつつも、内面にはあたたかさをしっとりと残している。柱や陶板の角が人為的な力によって創造されるもっとも単純な形である一方、球は人間以外の自然界がつくりうる原始的な形として表現されている。こうした両極の物質を同空間に配置することによって、静かなる生命の力を演出しているのだ。

作品鑑賞エリア
中庭のアート

内田 鋼一

1969年、愛知県名古屋市生まれ、三重県四日市市在住。愛知県立瀬戸窯業高校陶芸専攻科修了後、韓国を皮切りに東南アジア、インド、西アフリカ、ヨーロッパを放浪し、陶芸の村で働きながら世界各地の様々な焼き物に触れ、見聞を広める。その間、四日市市の製陶所で賃引きの仕事もおこない、1992年に23歳で独立。 2000年の東京国立近代美術館工芸館での「うつわをみる暮らしに息づく工芸」展をはじめ国内外で作品展を開き、2003年には三重県のParamita Museumで「UCHIDA KOUICHI」展を開催。雅樂倶でも2004年に美術館、2010年にはお茶室にて、表現の異なる2度の個展を開催し、2015年には樂翠亭美術館にて、美術館開館5周年記念展「手と眼」を開催した。2015年11月に三重県四日市市に萬古焼を中心とした私設美術館「BANKO archive design museum」設立。2019年日本陶磁協会賞受賞。2020年、三重県菰野町にて12のヴィラを持つ美術館のような宿「湯の山素粋居」を監修。2021年、三重県多気町の日本最大級の複合リゾート施設「VISON」にて、食に纏わる道具の博物館「KATACHI museum」を開館するなど、活動の幅は多岐にわたる。

主な作品
パラミタミュージアム 「coexistence.It ties」「壺の道」